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#04
応援の仕方には
様々なアプローチが
あっていい

 私が観戦した試合はセブンス(7人制)だったが、15人制や13人制と変わらない光景がそこにはあった。
 試合に熱中していても、平気でビールを求めに席を外す。酒が体内に充満し、できあがってお尻を振りながらダンスを踊っているファンもいる。オーストラリアには仮装する習慣があるらしく、ライフガード姿など「それは、ラグビーとどう関係があるの?」とツッコみたくなるような格好の人も少なくない。
 ラグビーの試合に興じるのもいいが、私としてはそんなファンを眺めているだけでも、アリアンツ・スタジアムに来た甲斐があったというものだ。
 「でもきっと、日本なら『品がない』とか言って、お偉方は頭を抱えるんだろうな」
 楽しさの反面、日本の現実にも直面する。ややきつい言い方になるが、頭を抱えたくなるのはこちらのほうである。
 どんな格好、応援の仕方であれ、それが競技を盛り上げ、エンターテインメントとして成立しているのであれば、私は度を越さない程度に様々なアプローチがあってもいいと考えている。それを一言で「ダメだ」と突っぱねてしまっては、その競技はいつまでたってもその国の文化にはならない。お客さんが大切なのだ。彼らが楽しめば、評価してくれれば、ほとんどのことはありだと、私は思う。

> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 彼らの欲を満たすビールとミートパイ、そしてラグビー
#02 文化として循環する独自のスポーツコミュニティ
#03 多様な施設が渾然一体となった一大スポーツ・パーク
#04 応援の仕方には様々なアプローチがあっていい
#05 スタジアムとスポーツが街をひとつにする

Data

使用チーム オーストラリア・ニューサウスウェールズ州シドニー
所在地 ワラタス(スーパーラグビー)、シドニールースターズ/ウェスツ・タイガーズ(NRL)、シドニーFC(Aリーグ)
収容人数 45,500人
竣工 1988年
工費 6,800万オーストラリアドル

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