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#03
数億年の時を経て
形成された
大自然に響く音
敷地内には、この地で演奏した偉大なミュージシャンたちの名残を感じられる、レッド・ロックス博物館が併設されている。
ビジターセンター内に設けられている「コロラド音楽の殿堂」では、地元に所縁のあるカントリーミュージックの名手たちの足跡をたどることができる。会場の壁に所狭しと貼られているレジェンドたちのポスターは、ずっと眺めていても飽きない。
ただ、やはり最大の見せ場は野外ステージだ。私がレッド・ロックスを訪れた日は、ちょうどベン・ハーパーのライブだった。彼もまた、好きなアーティストのひとりだ。
この音だ。この音なのだ。
私がCDやレコードで聴き続けていたサウンドが、ダイレクトに聴覚を刺激する。屋外ステージの壁面で交差し続ける「ドンドン」という重低音ではない。数億年の時を経て形成された大自然が音を受け入れ、岩から岩へと伝達していく。
「言葉で表現できないとは、こういうことか」
そう認めざるを得ないサウンドが、私の五感を研ぎ澄ませてくれているようだった。
photo:Jun Ikeda
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Data
使用チーム | −− |
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所在地 | アメリカ合衆国コロラド州デンバー |
収容人数 | 9,525人 |
竣工 | 1941年 |
工費 | 54,133ドル |