レッド・ロックスという名の通り、赤茶色の岩々が聳え立つこの地は、恐竜の化石が数多く発掘されることからもわかるように、数億年前からの自然がそのまま残っている。
　1900年代初頭、野外ステージとして運営されるようになってから、ビートルズにジミ・ヘンドリックス、U2、グレイトフル・デッド、ブルース・スプリングスティーン……時代を彩ったレジェンドたちが音を奏でている。アメリカの『ローリングストーン』誌で「全米No.1の野外劇場」と評価されるほどの“音楽の聖地”である。
　私自身、高校を卒業後、間もなくしてファンとなったデイブ・マシューズも、レッド・ロックスで幾度となくライブをしていた。リッキーリー・ジョーンズだって、この地で極上の歌声を披露している。それらのCDを何度も聞き、サウンドと歌声に耳と心を奪われたものだ。音にこだわるアーティストが愛する場所。それが、レッド・ロックスなのだ。
　「ここに行けば、ハマスタのサウンド改善のヒントがあるかもしれない」
　私は何のためらいもなく、デンバーの中心部から車で30分ほどの距離にある、全米№1の野外劇場へと向かった。

> to be continued

photo：Jun Ikeda