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#03
地元の人々が
我が家のように
寛ぐスタジアム

  “ホーム・オブ・ザ・シャークス”
 5万2000人を収容できる巨大な客席には、チームのアイデンティティがペイントされている。「シャークス」の名の通り、ダーバンは南アフリカで有数のシャーク・ケージ・ダイビングの名所である。グレートホワイトシャーク(ホオジロザメ)を間近で観察できることから人気で、選手たちも休日にはこのアクティビティを楽しんでいるという。
 そんな街のラグビーチームであるシャークスは、地元ファンから「シャーキー」の愛称で親しまれているという。
 ダーバンとラグビーとの強い親和性を感じずにはいられない。この街の人々はシャークスを愛し、キングス・パーク・スタジアムでは、まるで我が家のように寛いでいる。
 スタジアムの一角を占めている、ビルのような建物の内部はVIPルームのような空間であり、それとは別に設けられたラウンジには、ちょっとしたパーティができる食事スペースもある。
 「まずはビールを飲んで、気分を盛り上げようぜ!」。そんな声が至る所から聞こえてくる。この場所ならではのホスピタリティが確立されているのだ。
 シャークスのホームスタジアムであり、ファンの遊び場――ゲームが始まると、そのことがよりいっそう理解できる。
 ゴールポストの後方に設けられたプールでは、ファンの女の子が水着姿で踊り、家族が水遊びをしている。逆側にはなぜかソファが設置され優雅に観戦している人もいる。そうかと思えば、キッズたちがラグビーボールを蹴ったり、走り回ったりしている。

>> to be continued

 photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 日本にはないラグビーへの熱量と選手へのリスペクト
#02 歩みと風情を想起させるレンガ造りの薄暗い道
#03 地元の人々が我が家のように寛ぐスタジアム
#04 この自由さこそスポーツ本来のあり方なのかもしれない
 

Data

使用チーム スーパーラグビー・シャークス
所在地 南アフリカ共和国クワズール・ナタール州エテクウィニ都市圏(ダーバン)
収容人数 52,000人
竣工 1958年
工費

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