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#01
日本にはない
ラグビーへの熱量と
選手へのリスペクト

 南アフリカ・ダーバンの空港に降り立つと、ラグビー代表チーム「スプリングボックス」のグッズが目立つ場所に陳列されてある。もちろん、そこにはこの地をホームタウンとしているスーパーラグビーのチーム、「シャークス」のアイテムもある。空港内のモニターに目を移せばスプリングボックスやシャークスの映像がひっきりなしに流れる。さすがは、“ラグビーの国、南アフリカ”だ。
 「日本人がどうしてダーバンに?」
 空港で地元の人に話しかけられる。
 「ラグビーを観に来たんだよ」
 「おっ! サンウルブズの応援だな」
 日本人中心のサンウルブズは、スーパーラグビーにおいてお世辞にも強豪とは言えない。むしろ、弱い。それでも、地球の裏側にある南アフリカの人々は、サンウルブズの存在をはっきりと認識してくれている。
 野球で例えるならば、競技がそれほど盛んではないヨーロッパのプロリーグのチームに、日本人が興味を抱いているようなものか。
 「すごいな」。ただ純粋に、嘆息を漏らした。
 南アフリカにとっては当たり前なのだろうが、日本人の私にとって驚きだったのは、ラグビー選手たちの待遇だ。最も印象深かったのは、選手の宿泊先からスタジアムまで現地警察がバスをエスコートしてくれるのである。
 ラグビーへの熱量、選手たちへのリスペクト、そのどれもが日本では考えられない世界的なプロスポーツ。スーパーラグビーが共通言語であることを改めて教えられたような気がした。

>> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 日本にはないラグビーへの熱量と選手へのリスペクト
#02 歩みと風情を想起させるレンガ造りの薄暗い道
#03 地元の人々が我が家のように寛ぐスタジアム
#04 この自由さこそスポーツ本来のあり方なのかもしれない
 

Data

使用チーム スーパーラグビー・シャークス
所在地 南アフリカ共和国クワズール・ナタール州エテクウィニ都市圏(ダーバン)
収容人数 52,000人
竣工 1958年
工費

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