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#03
金の卵たちのプレーに
ビールを飲みながら
一喜一憂する

 スタンドに立つ。およそ1万人を収容できる観客席に目を凝らすと、サイドにレンガがあしらわれているなど趣がある。ブブゼラのような鳴り物を販売しながら練り歩く売り子、ベンチの真上では現地のチアガールたちがお尻を振りながらダンスを踊っている。これはこれでドミニカらしい。
 フィールドには天然芝が青々と生い茂っている。しかし、日本やアメリカのようにしっかりと整備されているわけではなく、内野の土も凹凸が目立つ。プロパンガスのタンクを模した巨大な広告など、外野フェンスには様々な企業の宣伝がなされているが、トータルで判断すればアメリカのマイナーリーグのスタジアムのほうが質は高い。60年近くの歴史あるボールパークなのだから、経年劣化は仕方がないと言えば仕方がない。
 ただ、ドミニカの野球の雰囲気を楽しみたいなら十分だろう。なにせ、この国では「プレジデンテ」という世界的に有名なビールがたらふく飲める。球場で売られている缶ビールは野球のボールがデザインされておりスタジアムとマッチしている。
 ドミニカの暑さで乾いた喉をビールで潤し、金の卵たちのプレーに一喜一憂する。ドミニカの“ビアガーデン”で野球を楽しむのもいい。
 本音としては、お酒を飲みながらドミニカの野球を満喫したかったが、試合後に現地の関係者たちとのミーティングが控えていたため、心地よく酔うことはできなかった。それでも、独自のルートを構築する第一歩としては、手応えはあったと思っている。

to be continued


photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 メジャーリーグのスーパースターを輩出する野球先進国へ
#02 日本と違い物騒な雰囲気漂うドミニカの路地裏
#03 金の卵たちのプレーにビールを飲みながら一喜一憂する
#04 「野球の国」ドミニカには夢が詰まっていた

Data

使用チーム ティグレス・デル・リセイ(LIDOM)、レオネス・デル・エスコヒード(LIDOM)
所在地 ドミニカ共和国サントドミンゴ北部
収容人数 16,500人
竣工 1955年
工費 RD$ 3,500,000

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