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#01
メジャーリーグの
スーパースターを
輩出する野球先進国へ

 私が横浜DeNAベイスターズの社長2年目だった2013年、チームは5位と不本意な結果に終わったが、ふたりの外国人選手が素晴らしい働きをしてくれた。
 ピッチャーのホルヘ・ソーサ選手は、55試合に投げ19セーブ、防御率1.79と3年目のシーズンもしっかりと機能してくれた。そして何より、この年に中日ドラゴンズから移籍してきたトニ・ブランコ選手だ。不動の4番バッターになることを期待して獲得したわけだが、打率3割3分3厘、41本塁打、136打点で首位打者と打点王に輝くなど、ベイスターズの大黒柱として頑張ってくれた。
 感謝のひと言に尽きる。そんな私の心情を察してか、チームの海外スカウトがこんな提案をしてくれた。
 「ふたりはすごく頑張ってくれたから、慰労してあげましょう。彼らは今、帰国していますけど、ウィンターリーグの視察を兼ねて行ってみませんか?」
 ソーサとブランコが生まれ育ったドミニカ共和国と言えば、メジャーリーグのスーパースターを数多く輩出する野球先進国である。その一方で、この国は治安が悪い。
 今年まで中日の監督を務められていた森繁和さんが、コーチ時代に現地へスカウトに行った際、拳銃を突き付けられたといったエピソードがまことしやかに囁かれているくらいだから、想像に難くはない。アメリカに多くのルートがある日本プロ野球界としては、「そこまで危険を冒して行く必要はないだろう」と考えるのは当然だし、実際に、ドミニカとコネクションを持っている球団は少なかったと言っていい。
 だからこそ、私はチャンスだと思った。

> to be continued

 photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 メジャーリーグのスーパースターを輩出する野球先進国へ
#02 日本と違い物騒な雰囲気漂うドミニカの路地裏
#03 金の卵たちのプレーにビールを飲みながら一喜一憂する
#04 「野球の国」ドミニカには夢が詰まっていた

Data

使用チーム ティグレス・デル・リセイ(LIDOM)、レオネス・デル・エスコヒード(LIDOM)
所在地 ドミニカ共和国サントドミンゴ北部
収容人数 16,500人
竣工 1955年
工費 RD$ 3,500,000

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