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#01
キューバ音楽に
興味を持った
大学生の頃

 海外の街でスポーツの息吹が感じられた瞬間、私はついうれしくなる。
 今でこそ脚の故障がたたり長距離を走ることができなくなってしまったが、横浜DeNAベイスターズの社長時代は、海外へ視察に行くと、朝には必ずホテル周辺を10kmほどランニングしていた。街並みやその国、地域の象徴的なスポーツを表現する何かを見つけると、立ち止まって写真に収めていたものである。
 それは、キューバであっても同じだった。
 ドミニカやキューバといった中南米の国は、治安がよくないと言われている。それでも、ランニング中の旅行者を襲うほど彼らに執着はない。なにせこちらは軽装で走っているのだ。簡単に追いつけるわけがないし、わざわざランニング中の観光客を追いかけた挙句、タックルすることもないだろう。
 首都ハバナの街を走る。
 「あれ? 昔よりアメ車が少ないな」
 私は学生時代、卒業旅行で一度、キューバを訪れた経験があった。
 大学生だった頃、ライ・クーダがキューバ人の老年ミュージシャンたちとブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブを結成した。そのバンドのアルバムが大ヒットし、キューバ音楽に大変な興味を持ったのだ。
 「ぜひ一度、現地でキューバ音楽を生で聴きたい」。そんな願望を抱いていた。余談になるが、社会人になってからも、渋谷のオーチャードホールでライ・クーダのライブを観に行くほど、私は今でも彼の音楽が好きだ。
 友人を誘って旅したキューバ。これがなかなか過酷だった。

> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 キューバ音楽に興味を持った大学生の頃
#02 憧憬に駆られながら街を駆け抜けたキューバの地
#03 キューバの海のような透き通った青が私の視覚を癒す
#04 人々の生活と同じように装いを変えていくスタジアム

Data

使用チーム レオネス・デ・インダストリアレス(CNS)
所在地 キューバ共和国ハバナ
収容人数 55,000人
竣工 1946年
工費 約200万ドル

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