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#03
最大の名物は
海に落ちる
スプラッシュ・ヒット
強烈な個性の余韻に浸りながら、ライト方面へと向かう。
センターのスコアボードに設えてある巨大なアナログ時計が、サンフランシスコ、そして、AT&Tパークの時を正確に刻んでいる。その下に用意されたオープンテラスのバーでは、仕事帰りのファンが試合前のウォーミングアップとばかりに酒を飲み、心と体を癒している。
サンフランシスコ湾の入り江に沿うように整備された、「ラットホール」と呼ばれる遊歩道は無料で試合が観戦できる人気のスポットだという。ファンでごった返さないよう、特定のイニングごとに入れ替えを促すボードが建てられている。このスタジアムの懐の深さに敬意を表すように、地元ファンたちは言うまでもなくマナーを守る。
その後方に広がる海には、カヌーが気持ちよさそうに浮かんでいる。彼らの目的は試合ではない。ジャイアンツの選手が放った豪快な打球がスタンドと遊歩道を越え、海に落ちる「スプラッシュ・ヒット」を期待して待機している。メジャーリーグ歴代1位の通算762本のホームランを記録した、かの大打者、バリー・ボンズが何本もそこに叩き込んだことで、今やAT&Tパーク最大の「名物」と言えるほどの〝アトラクション〟だ。
photo:Jun Ikeda
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Data
使用チーム | サンフランシスコ・ジャイアンツ |
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所在地 | アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ |
収容人数 | 41,503人 |
竣工 | 2000年 |
工費 | 3億5700万ドル |