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#03
企業経営と改革に
必要なのは
年齢ではなく情熱だ
ちょっとしたところでのきめ細やかさ。そこが行き届いているということは、目に移りやすい改革にも抜かりがないということ。それは、カブスの副社長であるセオ・エプスタイン氏陣営との会話で理解できた。
彼は私と少し境遇が似ていた。2002年、28歳の若さでボストン・レッドソックスのGMに就任した当初は、「まだオムツが取れていない」など揶揄されたそうだが、データ的な見地からチームを改革し、2004年には86年ぶりのワールドチャンピオンを陰で支えた。そして、11年に副社長としてカブスにヘッドハントされ、私が視察に訪れた3年後の16年、チームは108年ぶりにメジャーリーグの頂点に立った。その功績が認められ、この翌年にはフォーチューン誌の「世界で最も偉大なリーダー」で1位を手にしたほどだ。私自身、プロ野球史上最年少の35歳でベイスターズの社長に就任したこと自体に非難を受けた。多くの嫉妬を受け、そのことで軋轢も生じた。それでも年々、成果を上げてきたつもりだし、その自負もあった。要するに、年齢ではなく情熱なのだ。目的を果たすための活力。ブレない信念。企業経営や改革は、それがなければ始まらないのだ。
話をリグレー・フィールドに戻すと、カブスの経営陣はスタジアムのみならず、周辺の街づくりにも一層力を入れていくと言った。近隣の土地を購入ないしコントロールしてホテルやレストランなどを建設し、「もっとカブスの街にしていきたいんだよ」と熱弁をふるってくれた。
ここで、私のビジョンはより明確になった。
「ハマスタにたくさんお客さんを集めるためには、“街づくり”をしないといけない」
photo:Jun Ikeda
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Data
使用チーム | シカゴ・カブス |
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所在地 | アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ |
収容人数 | 41649人 |
竣工 | 1914年 |
工費 | 25万ドル |
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