update

#02
スタッフたちに
浸透している
ホスピタリティの概念

 伝統に触れながらスタジアムを散策していると、聞きなれない声が耳を伝う。
 「自分の席を探しているのか?」
 そこにいたのは、スタジアムボランティアのおじいさんだった。リグレー・フィールドには、彼のように何十年もこの場所で愛情を注ぐスタッフが数多くいる。誰もが親切だった。そして、彼らは決まって、最後に笑みを浮かべこう送り出してくれたのだ。
 「エンジョイ! ボールゲーム」
 この瞬間、横浜スタジアム(ハマスタ)改革のさらなる一歩がはっきりと見えた。
 当時、ハマスタのスタッフは、決して来場者への対応がいいとは言えなかった。むしろ、「態度が悪い」とお客さんの間で有名だったほどである。以前からそれを是正しようとしていた私にとって、リグレー・フィールドのスタッフたちのホスピタリティは、その決心を固めさせるには十分だった。
 「これだ! ハマスタのスタッフもこういった温かさがないとダメなんだ」
 時間はかかるだろう。先の話をすれば、彼らにホスピタリティの概念を浸透させる作業は大変だった。だが、ハマスタを地元に愛されるボールパークにするためには、この改革は不可欠だったのだ。

to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 地元ファンはパブで飲むビールで士気を高める
#02 スタッフたちに浸透しているホスピタリティの概念
#03 企業経営と改革に必要なのは年齢ではなく情熱だ
#04 魅力あるスタジアムをつくるための原点と言える場所

Data

使用チーム シカゴ・カブス
所在地 アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ
収容人数 41649人
竣工 1914年
工費 25万ドル

Map