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#02
伝統の重みを
投影する
深い緑
試合日となると、一帯すべてが“フェンウェイ・パーク”と化す。
プレイボール3時間前から、ヨーキー・ウェイはチケット保有者のみが通行できる歩行者天国に。スタジアムのために一般道を封鎖するなど、歴史あるフェンウェイ・パークだからこそ実現できるすご技と感心してしまう。
伝統を重んじたシンプルなデザインのチケットを握り締めた地元ファンが、スタジアムに掲示されてあるスケジュール表を眺めながら観戦の日程を立てる。
そして、印象的なレトロ感あふれる書体に誘われるように、オフィシャルグッズショップに足を運び、ホットドッグをかじりながらボールパークの雰囲気に浸る。スピードガン・コンテスト、大道芸人によるパフォーマンス、ジャズバンドの生演奏……。
古き良き雰囲気に多彩な演出が、ボールパークを盛り上げるスパイスとなっているところもじつにいい。
「昔ながらのボールパーク」と人は言うだろう。しかし、それがフェンウェイ・パーク最大の魅力だと感じている。
伝統の重みを投影したような、深い緑と重厚なレンガの外壁が見事に調和した外観。薄暗い地下にいると錯覚してしまうようなスタジアムのコンコースは、どの場所からでも試合が観戦できるといった、広々とした近代的なスタジアムのエッセンスとはほど遠い。
しかし、スタンドに立ち、フィールドを見渡せば、歴史あるフェンウェイ・パークが、今も生き生きとして佇んでいることが分かる。
photo:Jun Ikeda
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Data
使用チーム | MLBボストン・レッドソックス |
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所在地 | アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン |
収容人数 | 37,000人 |
竣工 | 1911年 |
工費 | 65万ドル |