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#04
“ザ・ボールパーク”
の本質を
体現し続ける

 レッドソックスはこれまで、時代の変化に伴い新球場の建設を発表してきたが、その度にファンから非難の声が上がり中止を余儀なくされてきた。それも、フェンウェイ・パークはメジャーリーグで最も歴史のあるボールパークであるからだ。
 その意思は企業にも派生し、国内外のパートナーたちが「フェンウェイを残そう」と協賛する。彼らの愛情を感じずにはいられない。
 メインイベントである試合の雰囲気も圧巻だ。全体を覆う深い緑に、生命力を失わない鮮やかな芝生が映える。ファンが一体となり選手を応援する姿を見ていると、日本のような派手な鳴り物など必要ないのではないかと思う。生の音で十分。ファンの声援、簡素なヒッティングマーチ、そして、8回表に大合唱されるオリジナルソング「スウィート・キャロライン」。
 1990年代後半から演奏されるようになり、定番となったこの曲を、ファン同士で肩を組み、体を揺らしながら声を晴らす。実際に現地で耳にした時のあの感動、忘れることができない。
 ボールパークの本質を体現し続けるフェンウェイ・パークこそ、“ザ・ボールパーク”と言えよう。もし、その姿が消えるようなことがあれば、アメリカの野球、ベースボールの魂がなくなる。
 皆、それが分かっているからこそ、フェンウェイ・パークはフェンウェイ・パークであり続ける。

>> see you next week !


 photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 歴史の息吹き漂うボールパーク
#02 伝統の重みを投影する深い緑
#03 スタジアムを象徴するグリーンモンスター
#04 “ザ・ボールパーク”の本質を体現し続ける
 

Data

使用チーム MLBボストン・レッドソックス
所在地 アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン
収容人数 37,000人
竣工 1911年
工費 65万ドル

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