update

#04
本物の
スポーツと音楽の聖地
が日本にも必要だ

 マディソン・スクエア・ガーデンの圧倒的な存在感に触れた私は、改めて思った。
 「やっぱり、日本にも本物の『スポーツと音楽の聖地』が必要なんだ。ハマスタを、横浜をそういう存在にしたい」
 あの日の憧憬が蘇る。
 私は学生時代からハマスタの目と鼻の先にある横浜文化体育館に、コンサートを何度も観に行った。エクストリーム、ヌーノ・ペッテンコート。彼らのライブは鮮明に覚えている。
 市民の運動場であり、コンサート会場。その横浜文化体育館が、私がベイスターズの社長となってからリニューアルする計画が持ち上がった。このとき、横浜スタジアムの社長を務めていた鶴岡博さん(当時)が掲げた「ハマスタが横浜文化体育館を運営するべきだ」という壮大な計画に、私の心は震えた。
 当時はバスケットボールチームのプロ化の話もあっただけに、それが実現すれば「この体育館をマディソン・スクエア・ガーデンにできる」と感じたし、ハマスタとともに一帯が「スポーツと音楽の聖地にできるのではないか」と、様々な構想が溢れ出したものだ。
 結論から言えば、「スポーツと音楽の聖地」は現時点で実現には至っていない。しかし、ハマスタ、そして横浜には、それだけのポテンシャルを秘めた施設があるというということだ。
 ベイスターズを出発点とすれば、野球で街を盛り上げることが先決だ。そこに結びつきそうな、様々なエンターテイメントの金脈を見つけ出し、ビジネスに発展させていく。ひとつ、またひとつとそれが増え、重なり合えば必ずや地域に認められ、街のアイコンとなる。ベイスターズとハマスタがもっと、もっと愛されるようになる。
 それこそが、真のボールパークなのだと、私は信じてやまない。

> see you next week!

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 最先端の街ニューヨークを訪れ、その息吹を感じる
#02 スポーツと音楽が融合した世界屈指のイベントホール
#03 シンクロするアーティストの歌声とオーディエンスの合唱
#04 本物の「スポーツと音楽の聖地」が日本にも必要だ

Data

使用チーム ニューヨーク・ニックス(NBA)、ニューヨーク・レンジャース(NHL)
所在地 アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン
収容人数 約2万人
竣工 1968年
工費 3億7,500万ドル

Map