#01
最先端の街
ニューヨークを訪れ、
その息吹を感じる
今、こうして振り返ってみると、私の音を巡る旅はつながっていたような気がする。
2012年に横浜DeNAベイスターズの社長となり、アメリカのボールパーク視察を始めた私は、早い段階でニューヨークのヤンキー・スタジアムを訪れた。そのとき、スタジアムではブルース・スプリングスティーンのライブのための会場設営が進められていた。そこで私は、直感的に「“アメリカ人の魂”と呼ばれるミュージシャンが、メジャーリーグの伝統球団のホームでコンサートを開くことにこそ意味がある。ハマスタ(横浜スタジアム)でもいつか、ブルース・スプリングスティーンのコンサートができたら……」と勝手に夢を膨らませたものだ。
そして15年、私は再びニューヨークの地に降り立った。
当初の目的は、のちに誕生する、野球をモチーフにしたライフスタイルショップ『+B』と、ニューヨークの洗練されたアイテムとのコラボレーションの交渉だった。ビースティ・ボーイズのメンバーやファレル・ウィイリアムも出資していた、コアバイクメーカー「ブルックリン・マシン・ワークス」の自転車に惹かれた私は閃いた。
「ベイスターズと同じ『B』だ。ボールパーク・バイシクルのように展開したい」
「ハマスタのある横浜公園で、おしゃれに走る自転車を開発したい」
「沖縄のキャンプ地で、選手たちの移動ツールとして採用してはどうか? 彼らが『それ、欲しいです』と乗ってくれるような、かっこいいデザインの自転車を提供したい」
私はそんな構想を巡らせ、先方に想いをぶつけた。すると彼らと意気投合し、瞬く間にコラボを実現させるなど収穫を得た。
ニューヨークとは誰もが知るように、ライフスタイル最先端の街。その場にいるだけで刺激され、自分も洗練された人間になりたいとモチベーションを高める。だから、この街に訪れた者は、時間が許す限り様々な場所に行き、その息吹を感じようとする。
私もそうだった。
このとき、すでに「ハマスタの音響を何とかしたい」と改善に意欲的だった私には、どうしても行きたい場所があった。
「ニューヨークに来たのなら、マディソン・スクエア・ガーデンには絶対に行かないと」
photo:Jun Ikeda
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Data
使用チーム | ニューヨーク・ニックス(NBA)、ニューヨーク・レンジャース(NHL) |
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所在地 | アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン |
収容人数 | 約2万人 |
竣工 | 1968年 |
工費 | 3億7,500万ドル |