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#01
開閉式ドームの
チェイス・フィールド
を訪れた理由

 横浜スタジアム(ハマスタ)は、1978年に誕生して以来、多くの横浜市民、そして野球ファンに愛されてきた歴史がある。ハマスタは「横浜の魂」だ。
 横浜DeNAベイスターズの代表を勤めていた頃、地元ファンに「ハマスタは、まるで大きな居酒屋であり、大勢の人たちとビールを飲みながら野球が楽しめる。はまかぜが、とんでもなく心地いい。隣の東京にはドームがある。横浜に同じものは要らない。野球は外でやるもの。そんな場所なんですよ」という話を聞かされたことがある。私は、今のスタジムに愛着を持つファンが非常に多いのだと実感していた。
 だから、2015年に「ドーム化構想」の案を聞かされた時は寝耳に水だった。
 「横浜にドームを作りたい。選手のためにもなる。ドームの方が勝つためにはいいんだ」と声を挙げる地元有志の方々は「古いスタジアムより、経済活性化を図るためのシンボルが必要なんだ」と息巻いている。
 それはいつしか、「横浜ドームを実現する会」の発足へと進行し、横浜商工会議所も乗り気になるなど、どんどんオーソライズされていった。そして、「ドームならやっぱり開閉式だろ」という具体案も出始めた。
 「だったら、今度の視察で野球の本場、野球先進国アメリカの、開閉式ドームを全部見てきてやろうじゃないか」
 文句や批判を言うのは簡単だけど、その前に自分の目で確かめ、横浜の魂であるハマスタを見捨て、リノベーションすることさえも捨て、本当に横浜にドームが必要なのか、開閉式ドームが必要なのか、新しいスタジアムが必要なのかを見極めなければならない。
 私は、そんな思いに駆られ、まず最初に訪れたのが、チェイス・フィールドだったというわけだ。

>> to be continued

 photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 開閉式ドームのチェイス・フィールドを訪れた理由
#02 夏場の暑さを考えた必然のドーム
#03 アメリカのエンターテインメントが表現されている
#04 最大の目玉は右中間スタンドのジャグジープール
 

Data

使用チーム  アリゾナ・ダイヤモンドバックス
所在地  アメリカ合衆国アリゾナ州フェニックス
収容人数  49,033人
竣工  1995年
工費  3億4900万ドル

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