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#04
伝統球団の
ベースボールが
息づいている
ヤンキース・ミュージアムには記念の展示物以外にも、日本人ならば松井秀喜選手やイチロー選手、黒田博樹選手など、このチームに所属していた全選手のサインボールが、オブジェのように整列されている。
「これだ!」。横浜スタジアムのコンコースに、私が球団社長をつとめてかたのすべての選手のサインボールを並べるようになったのは、まさしくヤンキー・スタジアムの演出を参考にさせてもらったからである。
サインボールに関して、もうひとつ学んだことがあった。それは、「選手にはボールペンでサインを書いてもらうこと」だ。日本のプロ野球選手のサインと言えば油性マジックペンが主流だが、それだと年月が経つと消えてしまうという。選手と球団の足跡を、ずっとファンに覚えてもらうために、残せるものは残したい――その想いは、ヤンキースもベイスターズも同じだと感じたわけだ。
フィールドに向かえば、旧スタジアムの形状を踏襲したフィールドで選手が躍動する。なだらかな傾斜の観客席にボックス席……。ファンはシーンに合わせて試合を満喫する。
そしてきっと、口を揃えるようにこう呟くに違いない。
「やっぱり、ヤンキー・スタジアムはいい」
ヤンキー・スタジアムは変わった。だが、今も昔も、そこには伝統球団のベースボールが息づいている。
photo:Jun Ikeda
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Data
使用チーム | MLBニューヨーク・ヤンキース |
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所在地 | アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク・ブロンクス |
収容人数 | 54,251人 |
竣工 | 2009年 |
工費 | 23億ドル |