ニルヴァーナとスターバックスコーヒーとセーフコ・フィールド。シアトルと言えば、私はいつもこの３つを連想してしまう。
　そして、この街は雨がよく降る。
　車でダウンタウンを走る。車内に流れるBGMはニルヴァーナ。カート・コバーンの物悲しいかすれた声と、シアトル特有の、雨が降りそうで降らないどんよりとした曇り空が絶妙にリンクする。
　100年ほど前に建てられたと言われるレンガ調の建造物。最上部に掲げられた、半分だけ顔をのぞかせた人魚が印象的な緑色のロゴマークを目にすれば、誰だって「スターバックスの本社だ」と認識できる。
　そこから少し車で北上すれば、シアトルのもうひとつのシンボル、セーフコ・フィールドがどっしりと佇んでいる。
　武骨。無機質。「これぞ開閉式ドームの典型」と思わせる要塞のような外観ではあるものの、これがシアトルの曇り空と不思議なほどマッチする。むしろ、「セーフコはこうでなければいけない」と信じ込んでしまうほどの趣き。無機質なのに、味がある。

>> to be continued

                                                                     photo：Jun Ikeda