#03
街全体が
会場となるような
屋外ライブの一体感
グレイトフル・デッドは、最後の花道を飾るにふさわしいライブを見せてくれた。
これでもかというくらいに打ち上げられる花火。ステージ上の舞台でよく用いられる「シャーピービーム」を駆使して派手に彩る。バックステージの映像も、プロジェクションマッピングで煽るだけではない。ワンシーンの映像だけでも鮮やかなカラーリングを表現したり、LEDライトを消して一枚の画を強調したりと、「さすがグレイトフル・デッド」と驚嘆させられる数々の演出を披露してくれた。
「やっぱり屋外でのライブは最高だ。空に抜けていく音。街全体が会場になっているような一体感。そう思えるのは、アーティスト、サウンド、ライトや映像など本物が融合しないと実現できないんだ」
アメフトを代表するスタジアムで、大物アーティストの演奏に触れる。スポーツとスタジアムの調和。横浜DeNAベイスターズと横浜スタジアムでも、それを実現しなければならないと、私はより使命感を強めたものだ。
シカゴから横浜に戻った私は、すぐに演出のリニューアルに着手した。
この頃、横浜スタジアムの照明を水銀灯からLEDライトに切り替えたこともあり、光の明滅を自在に行えるようになった。それを利用し、セットアッパーやクローザーが登場する際にはスタジアムの照明を消し、選手にスポットライトを当てながら周囲にスモークを焚く――そんな理想の演出から、野球のルール内で可能な限りの最大の演出を実現していった。ベイスターズが勝利する。間もなくしてスタジアムの照明をパッと消し、出し惜しみすることなく花火をどんどん打ち上げた。そして、スタジアムの上空を一晩中シャーピービームで照らし続ける。
グレイトフル・デッドのライブでは当然のことながら、バットマンを呼ぶシグナルとして用いられる、ゴッサムシティの夜空に浮かぶコウモリのライトからヒントを得たものだった。
photo:Jun Ikeda
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Data
使用チーム | シカゴ・ベアーズ |
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所在地 | アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ |
収容人数 | 61,500人 |
竣工 | 1924年 |
工費 | 1300万米ドル (竣工時)、6億3200万米ドル (2003年増築時) |