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#02
サプライズは、
地域に根付く
テールゲート・パーティ

 多少ではあるがローズボウルを知っていた私としては、「全米で注目されるスポーツイベントを観てみたい」と興味を抱いていたこともある。それ以上に関心があったのは、「なんでアメリカは大学スポーツも愛されているのだろう?」という、その背景だった。
 ローズボウルで試合を観戦する前に、その骨格が分かったような気がした。
 スタジアムの前に広がるゴルフ場。試合の日はそこが解放され、来場者がバーベキューを楽しんでいる。アメリカのスポーツイベントでは定番の「テールゲート・パーティ」だ。
 アメリカ特有の巨大なSUVやワゴンカーが並ぶ。それぞれ大量に食材を買い込み、スタジアムに到着するやテールゲート(後部ハッチ)を開き、バーベキューの準備をする。ほとんどのファンがUCLAのロゴが入ったTシャツなどを着ている。子供から逞しい体つきの大学生らしき若者たちが、アメフトのボールでキャッチボールをして楽しんでいる。それを眺めながら家族はビールを飲み、肉をほおばる。試合が始まろうがお構いなし。「今日はパーティで来たからいいんだ。フットボールの試合はテレビで観るよ」。そんな声が聞こえてくる。
 「地域に根付く」とは、かくも自由であるべき。アメフトを愛し、地元のUCLAを応援する純粋な気持ちがあるのなら、スタイルなど決めなくていいのかもしれない。スタジアムにいるだけで、チームの支えになっている。
 日本では豪勢に映るかもしれないカリフォルニアのテールゲート・パーティも、知人によれば「テキサスとか南部はもっとすごいぞ。でっかい車に豪華なBBQセット、肉、ソース……食材や調味料だってスケールはハンパじゃない。ぜひ一度、行ってみるといい」と言う。それでも、私にとってはローズボウルのテールゲート・パーティも十分すぎるほどのサプライズだった。

>> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 様々な夢を抱き熱狂してきた歴史ある場所
#02 サプライズは、地域に根付くテールゲート・パーティ
#03 歴史の深さと地元の人たちの関心度の高さを知る
#04 秘めているのは課題ではなく可能性だ
 

Data

使用チーム ローズボウル (NCAA) 
所在地 アメリカ合衆国カリフォルニア州パサデナ
収容人数 92.542人
竣工 1922年
工費 272,198ドル

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