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#04
スタンドの余白に
圧倒的存在感を放つ
ビッグイヤー

 ベルリンの街に触れることで、最大の目的であるチャンピオンズリーグのファイナルを、多角的に視察することができた。
 バス停に貼られたファイナルのロゴ。優勝クラブが手にできるトロフィー「ビッグイヤー」をあしらったハイネケン……。スポーツの一大イベントに関わらず、その演出はくどさを感じず、ベルリンの街に溶け込んでいる。
 ファイナルの舞台にたどり着く。オリンピア・シュタディオンが厳かに佇んでいる。
 1936年のベルリン五輪に合わせて、かの独裁者アドルフ・ヒトラーの号令のもと建造されたスタジアムは、古代オリンピックの競技場を参考に造られたと言われている。2000年に改修されたとはいえ、当時の趣を感じさせるフィールドは、陸上トラックも併設された昔ながらの様式である。
 サッカー専用のスタジアムとして造られたわけではない。しかし、それを装飾など「チャンピオンズリーグ仕様」に彩ることでカバーしている。スタンドの余白に大きく掲げられたビッグイヤーが圧倒的な存在感を放つ。
 「大会のシンボルをこうやって飾るんだ!?」
 ただただ、嘆息だけが漏れる。野球でもペナントレースは大きなペナントを、日本リーズだって専用のトロフィーをシンボルにすればもっと盛り上がるかもしれない――多彩なアイデアが、私の脳内を駆け巡る。

>> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 世界的スポーツイベントから学ぶ本場の味
#02 ミュンヘンの老舗醸造所がつくるお気に入りのビール
#03 心突き動かされたベルリンのライフスタイルショップ
#04 スタンドの余白に圧倒的存在感を放つビッグイヤー
#05 ベルリンの街に根付く文化とスポーツの本質

 

Data

使用チーム ヘルタ・ベルリナー・シュポルト・クラップ・ベルリン
所在地 ドイツ連邦共和国ベルリン
収容人数 74.475人
竣工 1936年(2004年改修)
工費 4.200万マルク(改修費2億4200万€)

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