update

#02
特筆すべき
要素はないが、
なぜか引き込まれる

 私が訪れた2014年はシカゴ・カブスの傘下で、スタジアム名も「フィフス・サード・バンク・ボールパーク」だったが、こちらもネーミングライツが他の企業に変わったのだろう。当時は、トップチームのロゴマークにクーガーズの球団名が入り混じったユニフォームが、なんとも表現しがたい〝カオス〟を漂わしており、とても印象深かった。
 スタジアムにしても特筆すべき要素はほとんどない。ただなぜか引き込まれる。
 ここが誕生したのは1991年。マイナーリーグ、しかも1Aクラスのミッドウエスト・リーグ所属のチームがホームとするボールパークだけあって、お世辞にも豪華とは言えない。チケット売り場は田舎町のショップのような佇まいで、出場選手を来場者に告知する「トゥデイズ・ラインナップ」も手書き。
 内野スタンドの傾斜が限りなく平面に近く設計されているのは、他のスタジアムと同じだ。違いを挙げれば、上段にベンチシートを設置していることくらいか。とはいっても、古びていて斬新さはない。

>> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 犬がいても許される大らかなボールパーク
#02 特筆すべき要素はないが、なぜか引き込まれる
#03 マイナーリーグのボールパーク特有の開放感
#04 ボールパークを作り上げる重要なピース
 

Data

使用チーム ケーンカウンティ・クーガーズ
所在地 アメリカ合衆国イリノイ州
収容人数 10,923人
竣工 1991年
工費 500万ドル

Map