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#01
犬がいても
許される
大らかなボールパーク

 のどかな雰囲気が漂う。
 着古したTシャツ姿のおじさん3人が、シートに並んで座ってビールを飲んでいる。内野スタンド上段に伸びるオープンコンコースの柱には、リードに繋がれた犬がキャンキャン鳴いている。でもそれは、怒っているというより喜んでいるようだ。
 「これ、いいの? スタジアムに犬とか、普通はあり得ないでしょ」
 その光景を目の当たりにした私は、ついついそんなツッコミを入れてしまいそうだった。
 この場所は、それすら許してしまう大らかなボールパークなのだ。
 ノースウェスタン・メディシン・フィールド(視察時の名称は「フィフス・サード・バンク・ボールパーク」)。イリノイ州にあるアリゾナ・ダイヤモンドバックス傘下のマイナーリーグのチーム、ケーンカウンティ・クーガーズのホームスタジアムである。
 田舎にある、いわゆる「おらが街のスタジアム」だ。

>> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 犬がいても許される大らかなボールパーク
#02 特筆すべき要素はないが、なぜか引き込まれる
#03 マイナーリーグのボールパーク特有の開放感
#04 ボールパークを作り上げる重要なピース
 

Data

使用チーム ケーンカウンティ・クーガーズ
所在地 アメリカ合衆国イリノイ州
収容人数 10,923人
竣工 1991年
工費 500万ドル

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