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#04
プレーヤーを
後押しする
多彩な個性

 開閉式ドーム。外観も鉄の骨組みが目立つ武骨な佇まい。一見すると無機質な建造物と思われがちではあるものの、ミニッツメイド・パークは、本当に作り手の温もりが至るところで感じられる。
 スタジアムの中には子供たちが飽きないような遊戯施設が点在し、選手たちのバッティング練習が間近で見られる「ゲームデ―ツアー」。もちろん、スタジアムの見学ツアーも開催されている。全体を見渡しても、スタンドはなだらかな傾斜で野球が見やすいように設計されているし、天然芝も青々と生い茂る。レイド氏が言うには、日光に近い光を浴びせられる機器を導入しているからだという。
 そして、名物の蒸気機関車である。
 試合開始時やアストロズの選手がホームランを打つと、それを祝うかのようにレフト後方に設えた趣のある外壁の上、120メートルほどの線路の上を滑走する。荷台には石炭ではなくオレンジ。スタジアムの命名権を取得しているコカ・コーラの人気ドリンク、「ミニッツメイド」を象徴するフルーツを載せているところにも遊び心がある。スポンサー、球団、ファン……。ボールパークを支えるすべての人を巻き込み、チームを応援している。
 ミニッツメイド・パークの多彩な個性が、プレーヤーを後押しする。ドームの屋根が開けば開放感は抜群だ。スタンドから見える、ヒューストンの街並みとのコントラストも映える。
 このボールパークに来てよかった――訪れた誰もが、そう思うはずである。

>> see you next week!

 photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 スタジアムを案内してくれたレジェンドの息子
#02 ロッカールームで感じたアメリカのユーモア
#03 臨場感のあるサウンドをファンに提供する
#04 プレーヤーを後押しする多彩な個性
 

Data

使用チーム ヒューストン・アストロズ
所在地 アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン
収容人数 41,168人 
竣工 2000年
工費 2億5000万ドル

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