ここはアイオワでなければ、トウモロコシ畑のなかにあるスタジアムでもない。だが、そこには落ち着いた雰囲気のボールパークがあり、純粋にベースボールの試合を楽しんでいる人たちがいる。
　正直な感想を述べてしまえば、ここは「あまり取り柄のない、マイナーならではのスタジアム」だ。それでも、十分である。
　外観のようにお金をかけるべきところはかけるが、フィールドは必要最低限の設備に抑える。そこが「ベースボールのある街」として、地域の人が野球をつまみにスタジアムに集い、会話や時間を楽しめればそれでいいのだ。「おらが街」のベースボールとしてチームが根付けば、それでいいのだ。
　ローンマート・フィールドを後にする際、私は「記念だから」とクエークスのＴシャツを購入した。思えば、「マイナーリーグのTシャツを揃えよう」と決めたのも、このボールパークがきっかけだった。
　＜それを造れば、彼はやってくる＞
　名作のフレーズが頭をよぎる。
　松田オーナーの助言によってマイナーリーグのスタジアムを意識し始め、ローンマート・フィールドを知ることができた。
　私もまた、このボールパークに導かれるようにやってきたのかもしれない。

>> see you next week!

photo：Jun Ikeda