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#03
ビールを片手に
満喫する
「おらが街」の風物詩

 外野席は企業広告でデザインされたパネルが並び、ポール際には芝生が敷き詰められている。内野席に凝縮されたシートはやはりなだらかな傾斜で、選手たちとの距離が近い。
 スタジアムに訪れたファンは、そこでダラーっと足を延ばしながら、ビールを片手に「おらが街」のベースボールを満喫している。
 選手がヒットを打てば口笛を鳴らしてクエークスを後押しし、得点が入れば歓声を上げる。ファンに同化するように、恐竜ともワニとも見えるマスコットがスタンドを練り歩く。スーツ姿のエンターテイナーが、自らのネタを駆使して日銭を稼いでいる。イニング間には、ここぞとばかりに地元の企業やショップの宣伝がなされている。
 それがこの街の、このボールパークの日常なのだろう。のどかな街の風物詩。地元ファンに溶け込むように、それこそのんびりとこのボールパークを眺めていた私の脳裏に、ふとこんなイメージが浮かんできた。
 「まるで、『フィールド・オブ・ドリームス』みたいだな……」

>> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 大都会の郊外に佇むのどかな雰囲気のボールパーク
#02 いい意味で拍子抜けしたスタジアムの外観
#03 ビールを片手に満喫する「おらが街」の風物詩
#04 ここには純粋にベースボールを楽しむ人たちがいる
 

Data

使用チーム ランチョクカモンガ・クエークス
所在地 アメリカ合衆国カリフォルニア州ランチョクカモンガ
収容人数 6,588人
竣工 1993年
工費 2000万ドル

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