カウフマン・スタジアムの“王様”を際立たせているのが、ライトスタンドのほとんどを埋め尽くすように設置された、およそ98メートルの噴水である。イニング間には色彩豊かなライトアップが施され、スタジアム全体を鮮やかに彩っている。
　巨大スクリーンに噴水。ふたつを眺めながら、「なるほど」と私は思った。「カウフマン・スタジアムは、このふたつを観客に観せるように設計されたのだろうな」と――。
　私が試合を観戦した席は、内野の最上部だった。人によってはゲームの臨場感を満喫するには物足りなさを抱くのかもしれないが、私はむしろ、満足した記憶がある。視界が開けているため、巨大スクリーンと噴水の演出がしっかり鑑賞でき、試合だってよく見渡せた。そして、外野スタンドのその先にある、カンザスシティの丘陵地。眼前に様々な光景が飛び込んでくるわけだから、心が躍らないわけがない。
 「スタジアムのここを見てくれ！」。強烈な自己主張をしながらも、それを感じさせない美しい演出。カウフマン・スタジアムは、確かに独自のスポーツ文化を生み出していた。

>> to be continued

photo：Jun Ikeda