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#03
昔ながらの
自由なアメリカを
想起させる
チームへのリスペクトは、ボールパークのクオリティの高さにも反映されている。
外野スタンドの後方に流れるオハイオ川。解放感があり、自然との調和が見事にとれたこのボールパークは、どこか『トム・ソーヤの冒険』のような、昔ながらのアメリカの自由さを想起させる。そんな郷愁を壊さず、しっかりと生かしているところはさすがだ。
センター後方に設置された「蒸気船シート」が、それを物語っている。
19世紀後半、交易のため大型蒸気船がひっきりなしに往来していた名残を表現しており、内野席から見るとまるで蒸気船がオハイオ川に佇んでいると錯覚するほど、リアルに再現されている。船の先端部、場所で言うと右中間方向にそびえる2本の煙突は、レッズの選手がホームランを放つと煙が出る仕組みとなっており、グレート・アメリカン・ボールパークの名物のひとつでもある。
シートで言えば、ここのテラス席は横浜スタジアムの参考にさせていただいた。
グレート・アメリカン・ボールパークのそれは、赤いソファがL字型に設置されており、後方のスペースにも余裕をもたせた広々とした空間になっている。家族連れや団体客がストレスを感じずにゆったりと試合を観戦できる。
「こういう場所は、日本の球場にはないな」と感じ、横浜スタジアムに導入した。このボールパークへのオマージュを残したい!――その感情が押さえきれなかった。
photo:Jun Ikeda
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Data
使用チーム | MLBシンシナティ・レッズ |
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所在地 | アメリカ合衆国オハイオ州シンシナティ |
収容人数 | 約42,000人 |
竣工 | 2003年 |
工費 | 3億2500万ドル |