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#04
温故知新が
反映された
ボールパーク

 焦げ茶色の入場ゲート。スタジアム内の照明なども同じ色で統一されており、球場内のコンコースはフィールドを掘り下げて作ってあるため穴倉のようなイメージがある。ここも、当然のように鉄骨とレンガが印象的なスペースとなっている。これは、新古典主義という思考が反映されているらしく、あえて古臭く空間を演出することで来訪者を楽しませる――そのような狙いがあるようだ。
 確かに、造りは古臭い。だが、コンコースを歩いていれば、多彩なショップが並んでいるし、フィリーズのヘルメット型のごみ箱が置いてあるなどポップな要素も点在してある。アメリカのボールパークには欠かせないキッズスペースも設置されてある。
 そして、左中間のコンコースでは、フィリーズの歴史を垣間見ることができる。1950年代に活躍したレジェンド、リッチー・アシュバーンにちなみ名付けられた「アシュバーン・アレー」は、球団の歴史や往年の名選手たちの写真などが展示されているメモリアルゾーンとなっている。
 シチズンズ・バンク・パークは、見る者によっては「特色のないボールパーク」と感じるかもしれない。しかし、細かいところに目を向ければ、ここには街と球団の誇り、そして、温故知新がバランスよく反映されているのだと理解できるはずである。

>>see you next week!

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 フィラデルフィアの誇りを演出する自由の鐘
#02 旧スタジアムへのオマージュが表現されている
#03 鉄骨むき出しの外観に圧倒される
#04 温故知新が反映されたボールパーク
 

Data

使用チーム フィラデルフィア・フィリーズ
所在地 アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィア 
収容人数 43.647人
竣工 2004年
工費  3億4600万ドル

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