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#03
ベースボール観戦と
テーマパークの
境界線

 さらにコンコースを進んでいくと、「シェイ・ブリッジ」と呼ばれる小さな橋が現れる。ポップな佇まい、演出を施しながら、長年メッツを支えてきたシェイ・スタジアムへのリスペクトも忘れてはいない。
 このシェイ・ブリッジは、いわば「ベースボール観戦」と「テーマパーク」の境界線を意味しているのかもしれない。橋を進んだ先にあるのは、人気ハンバーガーショップ「シェイクシャック」などの飲食店が軒を連ねるフードコート。さらに、子供たちが野球を楽しめるミニ球場が用意されていたりと、来場者を飽きさせないスペースとなっている。
 シティ・フィールドが人々を楽しませてくれるのは、何も球場外周だけではない。
 第一に、フィールドそのものも鮮やかにデザインされている。センターの巨大スクリーンに配された数々の企業広告がそうだ。一つひとつの大きさ、カラーリングが絶妙でフィールドに溶け込んでいる。この演出も、横浜DeNAベイスターズ時代に「シティ・フィールドのようにできないか?」と、思考を巡らせた記憶がある。「横浜スタジアムの外野スタンドに設置されたY字の照明塔に、インパクトのある広告をつけられないか?」と。
 シティ・フィールドの巨大スクリーンに触れ、「広告もボールパークのデザインの一部なのだ」と実感したものである。

>> to be continued

photo:Jun Ikeda

 
This week’s articles
#01 初心者に最適なボールパーク
#02 巨大なショッピングセンターを思わせる佇まい
#03 ベースボール観戦とテーマパークの境界線
#04 ボールパークでありテーマパークという演出
 
 

Data

使用チーム ニューヨーク・メッツ 
所在地 アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク・クイーンズ
収容人数 45,000人
竣工  2009年
工費 6億1,000万ドル

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