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#04
ボールパークが
ボルチモアに
活気を与えた

 「カラーを前面に打ち出す」という意味で、ハマスタの原点であるカムデン・ヤーズは、今こうして振り返ってみても、細部にいたるまでつくづくファンを楽しませてくれるボールパークだとわかってもらえるはずだ。
 倉庫やコンコースの演出もさることながら、飲食店が並ぶ歩道には、この場所にホームランを放ったスター選手のプレートが埋め込まれており、外野の右中間側に設置された広々としたテラス席などでは、お酒を飲みながら野球観戦を楽しめる。極端に言えば、野球を観ずとも仲間たちと談笑しながら楽しむスペースとして、十分な機能を果たしている。
 新古典主義を用いて誕生したカムデン・ヤーズは、メジャーリーグのボールパークの新たなトレンドを生み、1990年代に起こった「第二次スタジアム建設ブーム」に多大な影響を与えたと言われている。
 なにより、カムデン・ヤーズがボルチモアに生まれたことで街全体が変わった。
 スタジアム完成以前のボルチモアはあまり治安が良くなかったそうだが、カムデン・ヤーズの誕生に伴い周辺にホテルが建設され、交通網も整備されたことで観光客が多く訪れるようになった。このボールパークが、ボルチモアに活気を与えたのである。

>> see you next week!

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 街の歴史を具現化させたボールパーク
#02 カラー・コミュニケーションという新たな概念
#03 アニメ風にデザインされた球団キャラクター
#04 ボールパークがボルチモアに活気を与えた
 

Data

使用チーム ボルチモア・オリオールズ 
所在地  アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア
収容人数  45,971人
竣工  1992年
工費  1億1000万ドル

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