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#03
アニメ風に
デザインされた
球団キャラクター

 カムデン・ヤーズのカラー・コミュニケーションの浸透に一躍買っているとすれば、メリーランド州の「州鳥」に認定されている「ボルチモアムクドリモドキ」の球団キャラクターだ。コンコースを歩けば、アニメ風にデザインされたマスコットが至るところに登場し、トイレの入り口には6代続く歴代の「ボルチモアムクドリモドキ」のロゴペイントが施されている。
 もしかしたら「たかがトイレに」と思われるかもしれない。しかし、そのディテールは訪れたものの潜在意識に必ず残っているものである。だからこそ、私はこの地を視察した際に「横浜スタジアムも、一つひとつに妥協せず、こだわりを見せよう」と共感できたし、実際に横浜DeNAベイスターズのロゴを作成するとなった段階から、オリオールズのアイデアを参考にさせてもらった。
 余談ではあるが、プロ野球の球団には主催試合で球場が満員になった際に、担当記者などに「大入り袋」を渡す習慣がある。それまでは硬貨を入れていたが、2016年に私の提案で、ベイスターズはハマスタのロゴを刻印したコインに変えた。これも、カムデン・ヤーズからインスパイアされてのことだった。
 カムデン・ヤーズへのオマージュという意味では、選手の背番号をスタジアムに取り入れたこともそのひとつだ。
 センター方向の入場ゲートやコンコースには、カル・リプケンJr.など永久欠番となっている名選手の背番号が形を変えて展示されている。横浜スタジアムにもライトフェンスに背番号を並べたのは、カムデン・ヤーズのように選手へのリスペクト、そして、ファンに愛着を抱いてもらいたいからである。

>> to be continued

 photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 街の歴史を具現化させたボールパーク
#02 カラー・コミュニケーションという新たな概念
#03 アニメ風にデザインされた球団キャラクター
#04 ボールパークがボルチモアに活気を与えた
 

Data

使用チーム ボルチモア・オリオールズ 
所在地  アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア
収容人数  45,971人
竣工  1992年
工費  1億1000万ドル

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