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#03
時代の流れによって
アップデートされる
チームロゴ

 毎年9月から2月までの半年間のシーズンのなかで、1チームあたり16試合。他競技に比べるとNFLのリーグ戦は圧倒的に少ない。にもかかわらず、長らく「全米No.1スポーツ」に君臨していられるのは、それだけ企業努力をしているからだと思っている。
 NFLは「スポーツ界で優秀な人材が最も集まる場所」と言われており、それは実際に訪れて納得させられたことだった。
 チームフラッグ。そして、スタジアムに掲げる対戦相手のヘルメットをモチーフにした想像以上の巨大なフラッグなどを、対戦相手によって代えるきめ細やかさもその一端だが、私が驚いたのはチームロゴでさえ定期的にデザインを変更していることだった。
 野球ならば「チームロゴはチームの象徴」であり、小さな変化はあるにせよベースが様変わりすることは滅多にない。
 日本のプロ野球のチームロゴを思い浮かべてもらうといい。球団が買収されたり、オーナーが変更する以外はほぼ変わらない。私がプロ野球の社長になった当初も、「ロゴは変えてはいけない」「球団のプライマリーマークも変えてはならない」「ユニフォームのデザインをなるべく変えてはならない」。それがプロ野球であり、球団で働く人間たちによく注意をされたものだ。ファンのお財布事情を考慮し、しょっちゅう買い替えさせるためのエゴを出さないための手法であることもよくわかる。もちろんファンや地域に愛着をもってもらうためには、そのほうがいいのかもしれないが、NFLは違う。「時代の流れによって変化も必要だ」という考えのもと、チームロゴもどんどんアップデートされていく。
 ブロンコスで言えばチームが設立されてから60年足らずで4度も変更している。変えないことの愛着よりも、変えることによってファンを飽きさせない努力を、彼らはしているのだろう。
 「今の時代に“強く”見える、感じるのがチームロゴだろ」
 ブロンコスのコーチに言われて、確かに私もそう感じた。

> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 腹の底から声を出し選手たちの士気を高めるオレンジ軍団
#02 ブロンコスが教えてくれたチームカラーの重要性
#03 時代の流れによってアップデートされるチームロゴ
#04 猛々しい格闘に一喜一憂する、それがNFL観戦の醍醐味

Data

使用チーム デンバー・ブロンコス
所在地 アメリカ合衆国コロラド州デンバー
収容人数 76,125人
竣工 2001年
工費 3億6420万ドル

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