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#04
いいものはいいと認め
余すことなく
導入すること

 韓国の二軍施設は、親会社の潤沢な資金援助のもと最新鋭の設備を実現させているわけだが、私はこれもひとつのボールパークの在り方だと思っている。
 ベンチマーク社会を「モノマネだ」と否定する人はいるかもしれない。だが、いいものは、いいのだ。私がアメリカのボールパークを視察し、感銘を受けた要素を横浜スタジアムに還元してきたように、それを具現化することでボールパークはもとより、地域が活性化され、よりファンに愛着を持ってもらえるのであれば、それはその場所にしかない個性となる――私は、そう考えている。
 韓国の二軍施設を訪れ、「おそらく」と想像を巡らせたのが、2016年に誕生した福岡ソフトバンクホークスの「ホークスベースボールパーク筑後」だった。
 一軍本拠地のある福岡市からは離れているが、九州新幹線・鹿児島本線の筑後船小屋駅の目の前に施設を構え、ファームとしては十分すぎるほどのキャパシティを誇るメイン球場。そしてサブグラウンドに、広々とした室内練習場が一か所に凝縮されている。
「まるで、LGや斗山のファームのようだ」
 私は築後を訪れた際、真っ先にそう感じたものだ。日本プロ野球の二軍施設としては紛れもなくトップクラス。ホークスは、ファームのボールパーク化構想を最も早く実現させた球団と言えるだろう。
 ベイスターズに話を戻せば、現在、2019年を目途に追浜公園は〝ベイスターズのボールパーク〟に生まれ変わるため、準備を進めている。私はすでに完全にベイスターズを離れているが、どのような施設になるのか、地域から愛されるアイコンとなる施設になれるのか、楽しみだ。
 より良い環境を築くためには、それなりの資金も必要だろう。しかし、大切なのは、いいものをいいと認め、余すことなく導入すること。そして、地域やファンに愛される場所を常に考え、その地に根付かせることを意識し、変化させ続けることである。

>> see you next week!

 photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 一軍同様に魅力あるボールパークをつくりたい
#02 メジャーリーグのスプリング・キャンプ地を思わせる整備
#03 ストレスなく野球に打ち込むための最適な場所
#04 いいものはいいと認め、余すことなく導入すること

Data

使用チーム 北斗ベアーズ(ファーム施設)
所在地 大韓民国京畿道利川市
収容人数 400人
竣工 1983年
工費 550億ウォン

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