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#02
正面ゲートに突き出す
巨大な建造物に
度肝を抜かされた

 私にとってブルックリンは、「ニューヨークにありながら、どこかあか抜けていない」イメージがあった。治安があまりよくないというのもあるが、それ以上に映画『サタデー・ナイト・フィーバー』を連想してしまう。
 主役のジョン・トラボルタが演じる、土曜日のディスコ通いだけが生きがいのトニーが、年上の女性と大都会マンハッタンで暮らすことを夢見ながらダンスコンテストに挑戦するのだが、結果的にその女性に厳しい現実を突きつけられる――。そういったストーリーだ。映画を観ただけではあるが、当時の私の印象は「労働者の街・ブルックリン……ニューヨークなのに、冴えないな」だった。
 そんな、“冴えない街”ブルックリンのイメージを払しょくさせたのが、他でもないバークレイズ・センターだったわけだ。
 最初に度肝を抜かされたのが、正面ゲートに突き出した巨大な建造物である。螺旋形、流線形、どちらとも表現しがたい独創的なフォルムのそれは、大型LEDビジョンと一体となっており、試合やイベント、チケット情報などがアナウンスされる。
 「どうやって造ったんだ、これは?」
 アリーナを目の当たりにし、私の思考が徐々に動き出す。そういえば、知人からこんなアドバイスをもらっていたな。
 「ベイスターズのエンターテインメントを強化したいなら、ブルックリンのバークレイズ・センターに行ってみるといいよ」
 なるほど。彼の言った意味が理解できる。

> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 ブルックリンでどうしても見ておきたかった場所
#02 正面ゲートに突き出す巨大な建造物に度肝を抜かされた
#03 センターコートに設置された4面の巨大ビジョン
#04 ありきたりなデザインではダメな理由

Data

使用チーム ブルックリン・ネッツ(NBA)、ニューヨーク・アイランダース(NHL)
所在地 アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン
収容人数 18,000人(バスケットボール)、14,500人(アイスホッケー)、19,000人(コンサート)
竣工 2012年
工費 10億ドル

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