update

#01
ハイウェイから
通りすがりに眺めた
赤い「A」

 日本人にとって、ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムと言えば、もはや大谷翔平選手を意味する――そう表現しても大げさでない。それほど、今年のシーズン序盤は盛大な「大谷フィーバー」だった。
 巨大なヘルメットが印象的なエンゼルス・スタジアムの正面ゲート。そこで行った入団会見から、「大谷劇場」がスタートした。
 ホームのエンゼルス・スタジアム・オブ・アナハイム(以下、エンゼルス・スタジアム)で豪快なホームランをかっ飛ばし、マウンドに立てば相手バッターから三振の山を築く――。日本からやってきた二刀流。“和製ベーブ・ルース”の躍動は、たちまちアメリカのファンを虜にした。
 記憶が鮮明に蘇る。
 私が初めてこの地に訪れたのは2012年。正確に言えば、エンゼルス・スタジアムの前を車で「通り過ぎた」だけだった。
 現地を案内してくれたコーディネーターが言った。
「ここは別に見なくていいんじゃないか?」
 なんとなく、理由はわかっていた。
 アナハイムと言えば、誰もがディズニーランドを連想する。事実、この地に訪れた人たちの多くはエンゼルス・スタジアムではなく、世界的に有名なレジャー施設を目指す。それに、この時期のスタジアムは改修工事の真っ最中であり、あまり参考にならなかった。それよりも、同じロサンゼルスならばドジャー・スタジアムや、その郊外にあるマイナーのスタジアム、サンディエゴのペトコ・パークの視察のほうが、アナハイムのスタジアムよりも優先順位が上だった。コーディネーターの観点からも、その意見で一致していた。
 ただ、ハイウェイで通りすがりに眺めたエンゼルス・スタジアムで、はっきり覚えていたことがあった。
 カリフォルニアの広大な土地に悠然と佇むその姿。外野スタンドに掲げられた、巨大な赤い「A」のチームエンブレム。ほんの数秒でも、このボールパークは、私にインパクトを与えてくれたことになる。

>> to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 ハイウェイから通りすがりに眺めた赤い「A」
#02 ディズニーランドを想起させる圧倒的なスケール
#03 個性を発揮する「The Big A」というシンボル
#04 野球ファン以外にも立ち寄ってほしいスタジアム
 

Data

使用チーム ロサンゼルス・エンゼルス
所在地 アメリカ合衆国カリフォルニア州アナハイム
収容人数 45050人
竣工 1966年
工費 2400万ドル(改修:1億1800万ドル)

Map