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#02
文化として
循環する独自の
スポーツコミュニティ

 オーストラリアのパブには、必ずと言っていいほど近くにラグビー場が存在する。
 すべての店舗が該当するわけではないのだろうが、試合をライブ中継しているような“ラグビーパブ”は、そこでの売り上げの一部を近隣のラグビー場やクリケット場といった施設、子供たちのクラブチームなどの運営費に充てている。
 そこで育った子供たちのなかには、やがてプロ選手になるケースもあるだろうし、地域に残ってビールやミートパイを食べ、スポーツに還元する人だっている。
 オーストラリアでは、独自のスポーツコミュニティが確立されているのだ。
 「面白いシステムだな。子供から大人までいつもラグビーやクリケットのような国の人気スポーツに触れられる環境がある。その先にはプロがつながっていて、それが循環している。スポーツが文化になっている証拠だ」
 日本のように、人気スポーツが「LIKE」だけで留まっているのではなく、オーストラリアは「LIFE」にしているわけだ。
 スタジアムの近くにパブがあり、そこには地域の人たちのコミュニティが存在する。それは、シドニーを代表するスポーツ施設であっても例外ではない。

to be continued

photo:Jun Ikeda

This week’s articles
#01 彼らの欲を満たすビールとミートパイ、そしてラグビー
#02 文化として循環する独自のスポーツコミュニティ
#03 多様な施設が渾然一体となった一大スポーツ・パーク
#04 応援の仕方には様々なアプローチがあっていい
#05 スタジアムとスポーツが街をひとつにする

Data

使用チーム オーストラリア・ニューサウスウェールズ州シドニー
所在地 ワラタス(スーパーラグビー)、シドニールースターズ/ウェスツ・タイガーズ(NRL)、シドニーFC(Aリーグ)
収容人数 45,500人
竣工 1988年
工費 6,800万オーストラリアドル

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